[読書]大量監視社会―マス・サーベイランス 誰が情報を司るのか
プライバシーの観点から、政治のあり方やテクノロジの活用方法について、警鐘を鳴らす一冊。
生活空間に監視体制がいつの間にか組み込まれていることに驚愕し、自分の情報がどこまで収集・利用されているのかを考えると、薄ら寒い感覚に襲われることだろう。
最近では、街中でもよく見かけるようになった監視カメラ。
公共施設にはじまり、コンビニ、ショッピングモール、マンションなど、設置場所は枚挙に暇がない。
一時はプライバシーの観点からメディアからも注目され、賛否両論の意見が挙がっていたように思う。
しかしその後のマスメディアでは凶悪犯罪がクローズアップされ、防犯目的という大義名分を元に、監視カメラが設置され続けている。
監視カメラが活躍している場面で真っ先に思い浮かぶのは、自動車道に設置されたカメラだろうか。
いわゆるオービスとして活躍しているわけだが、撮影された画像の扱いには不透明な部分も多い。
著者はこの現状から、国内の自動車移動は見張られ続けているではないかと警告している。
本書では他にも、無線通信技術(ICカードやRFID)、遠隔地の監視システム、ネットワーク技術による情報の統合(住基ネットなど)の生い立ちや運用体制に対して、鋭く踏み込んでいる。
数多くの事例を扱っており、勉強になる部分が多い。
ただ、全編を通して批判的な感情が表に出すぎており、言葉遣いが汚いとさえ思えてしまう箇所もある。
プライバシーの問題は非常にセンシティブであるため、中立的な立場から冷静に分析をしてほしかった。
また、作品のスパイスとして批評を盛り込むことは効果が高いと思うが、現状を憂いているだけの部分が多い。
冷静な分析と、著者なりの対策を盛り込むことで、非常に素晴らしい本になるのではないかと感じた。
一方、インターネットから入手できる調査資料だけで、一冊の本に仕上げたという点にも注目したい。
近年は流通する情報が膨大になりすぎて取捨選択が難しい場面も多いのだが、行政活動などの公開情報を追いかけるための道具として、インターネットは非常に優れていると感じた。
もちろんインターネットのみからの情報収集には限界があるとは思うが、分野によっては一冊の本にまとめられるだけの情報が手に入る時代なのだ。
情報過多と呼ばれる時代において、インターネットとの付き合い方を考えさせてくれた。

大量監視社会―マス・サーベイランス
書評/社会・政治

生活空間に監視体制がいつの間にか組み込まれていることに驚愕し、自分の情報がどこまで収集・利用されているのかを考えると、薄ら寒い感覚に襲われることだろう。
最近では、街中でもよく見かけるようになった監視カメラ。
公共施設にはじまり、コンビニ、ショッピングモール、マンションなど、設置場所は枚挙に暇がない。
一時はプライバシーの観点からメディアからも注目され、賛否両論の意見が挙がっていたように思う。
しかしその後のマスメディアでは凶悪犯罪がクローズアップされ、防犯目的という大義名分を元に、監視カメラが設置され続けている。
監視カメラが活躍している場面で真っ先に思い浮かぶのは、自動車道に設置されたカメラだろうか。
いわゆるオービスとして活躍しているわけだが、撮影された画像の扱いには不透明な部分も多い。
著者はこの現状から、国内の自動車移動は見張られ続けているではないかと警告している。
本書では他にも、無線通信技術(ICカードやRFID)、遠隔地の監視システム、ネットワーク技術による情報の統合(住基ネットなど)の生い立ちや運用体制に対して、鋭く踏み込んでいる。
数多くの事例を扱っており、勉強になる部分が多い。
ただ、全編を通して批判的な感情が表に出すぎており、言葉遣いが汚いとさえ思えてしまう箇所もある。
プライバシーの問題は非常にセンシティブであるため、中立的な立場から冷静に分析をしてほしかった。
また、作品のスパイスとして批評を盛り込むことは効果が高いと思うが、現状を憂いているだけの部分が多い。
冷静な分析と、著者なりの対策を盛り込むことで、非常に素晴らしい本になるのではないかと感じた。
一方、インターネットから入手できる調査資料だけで、一冊の本に仕上げたという点にも注目したい。
近年は流通する情報が膨大になりすぎて取捨選択が難しい場面も多いのだが、行政活動などの公開情報を追いかけるための道具として、インターネットは非常に優れていると感じた。
もちろんインターネットのみからの情報収集には限界があるとは思うが、分野によっては一冊の本にまとめられるだけの情報が手に入る時代なのだ。
情報過多と呼ばれる時代において、インターネットとの付き合い方を考えさせてくれた。

大量監視社会―マス・サーベイランス
- 山本 節子
- 築地書館
- 2520円
書評/社会・政治

- [2008/08/27 21:44]
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[読書]ウェブ時代5つの定理
梅田望夫著。
ビジョナリたちの金言を通して、「アントレプレナーシップ(起業家精神)」「チーム力」「技術者の眼」「グーグリネス」「大人の流儀」の観点から、著者の言葉でシリコンバレーに根付く文化や精神を紹介しているのがこの一冊。
ご本人が「この本は手元に置いて、何年かに一度でもぜひ開いてほしい。」と語っている通り、時折手に取りたくなる一冊だと感じた。
一冊を通じて印象に残った部分は次の二箇所。
○p131 ポールグラハムの言葉
優れたプログラマは、好きな仕事をするために大きな報酬を求める、という内容。
これに対し、日本ではお金にどん欲な側面は疎まれる傾向がある。
しかし優れた人がそれだけの見返りを得ることができる土壌ができあがれば、就学・就労両方でのモチベーションアップにつながるわけで、人々の生活と仕事が豊かになるのではないだろうか。
そこには、優秀な人材の動きが活発になり、魅力的で実力のある企業が台頭するという、資本主義本来の姿がありそうだ。
何よりも、自分のオリジナリティを発揮して物事に没頭すれば、それだけの報酬と豊かな生活が待っているなんて素敵だ。
# もちろん間違った方向に突進しないためにも、チームワークや先人達の声に耳を傾ける必要があるのだけど
○p126, p155他 スティーブジョブズの言葉
ジョブズのいう「プロダクト志向」は大切にしたい信念。
自分も(一応)エンジニアの身なので、"ものづくり”への努力の結晶であるプロダクトはとても大事なものだ。
形に至るまでの過程や、その後市場へ浸透させる取り組みなども、プロダクトありきの動きであることを忘れてはならない。
この一冊を通じて、日頃感じながらも行動に結びつかないような、心のどこかで燻っている部分が刺激される。
自分の勤め先はいわゆる大企業で歴史が古く、さらにはIT専業の企業ではないために、ITエンジニアが不自由だと感じる部分は多い。
しかし、多くの業種にわたる大小様々な顧客と、社内にある多種多様な部隊と連携しての仕事はとても楽しいものだ。
今の会社のオリジナリティはそこにあるわけで、受注産業体質でメーカ気質に欠ける文化にありながらも、幅を活かしてどれだけのプロダクトを生み出していけるのかが楽しみになりそうだ。
アントレプレナーシップには欠けるかもしれないが、大企業は大企業なりに楽しみは多いというのが、今現在の感想。
このように、読む人によって大きく感想が違いそうだ。
さらにキャリアを重ね立場が変わった頃に読み直すと、全く異なる感じ方をするのだろう。
いずれまた手に取りたいと思わせるだけの一冊に仕上がっている。
参考:
文藝春秋|梅田望夫著「ウェブ時代 5つの定理」
http://www.bunshun.co.jp/umeda_web/index.htm
産経新聞一面連載が完結、ぜんぶまとめてウェブで読めます。 - My Life Between Silicon Valley and Japan
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20080301/p1
ビジョナリたちの金言を通して、「アントレプレナーシップ(起業家精神)」「チーム力」「技術者の眼」「グーグリネス」「大人の流儀」の観点から、著者の言葉でシリコンバレーに根付く文化や精神を紹介しているのがこの一冊。
ご本人が「この本は手元に置いて、何年かに一度でもぜひ開いてほしい。」と語っている通り、時折手に取りたくなる一冊だと感じた。
一冊を通じて印象に残った部分は次の二箇所。
○p131 ポールグラハムの言葉
Great programmers are sometimes said to be indifferent to money.
This isn't quite true. It is true that all they really care about is doing interesting work.
But if you make enough money, you get to work on whatever you want,
and for that reason hackers are attracted by the idea of
making really large amounts of money.
優れたプログラマは、好きな仕事をするために大きな報酬を求める、という内容。
これに対し、日本ではお金にどん欲な側面は疎まれる傾向がある。
しかし優れた人がそれだけの見返りを得ることができる土壌ができあがれば、就学・就労両方でのモチベーションアップにつながるわけで、人々の生活と仕事が豊かになるのではないだろうか。
そこには、優秀な人材の動きが活発になり、魅力的で実力のある企業が台頭するという、資本主義本来の姿がありそうだ。
何よりも、自分のオリジナリティを発揮して物事に没頭すれば、それだけの報酬と豊かな生活が待っているなんて素敵だ。
# もちろん間違った方向に突進しないためにも、チームワークや先人達の声に耳を傾ける必要があるのだけど
○p126, p155他 スティーブジョブズの言葉
You need a very product-oriented culture.
ジョブズのいう「プロダクト志向」は大切にしたい信念。
自分も(一応)エンジニアの身なので、"ものづくり”への努力の結晶であるプロダクトはとても大事なものだ。
形に至るまでの過程や、その後市場へ浸透させる取り組みなども、プロダクトありきの動きであることを忘れてはならない。
この一冊を通じて、日頃感じながらも行動に結びつかないような、心のどこかで燻っている部分が刺激される。
自分の勤め先はいわゆる大企業で歴史が古く、さらにはIT専業の企業ではないために、ITエンジニアが不自由だと感じる部分は多い。
しかし、多くの業種にわたる大小様々な顧客と、社内にある多種多様な部隊と連携しての仕事はとても楽しいものだ。
今の会社のオリジナリティはそこにあるわけで、受注産業体質でメーカ気質に欠ける文化にありながらも、幅を活かしてどれだけのプロダクトを生み出していけるのかが楽しみになりそうだ。
アントレプレナーシップには欠けるかもしれないが、大企業は大企業なりに楽しみは多いというのが、今現在の感想。
このように、読む人によって大きく感想が違いそうだ。
さらにキャリアを重ね立場が変わった頃に読み直すと、全く異なる感じ方をするのだろう。
いずれまた手に取りたいと思わせるだけの一冊に仕上がっている。
参考:
文藝春秋|梅田望夫著「ウェブ時代 5つの定理」
http://www.bunshun.co.jp/umeda_web/index.htm
産経新聞一面連載が完結、ぜんぶまとめてウェブで読めます。 - My Life Between Silicon Valley and Japan
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20080301/p1
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