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[読書]未来を予測する技術 

「地球シミュレータ」という名を耳にしたことがあるだろうか。
2002年から2004年にかけて、世界最速の座に君臨したスーパーコンピュータである。
2004年以降からはIBMのBlueGeneにその座を明け渡したものの、BlueGeneはスカラ演算、地球シミュレータはベクタ演算を強みとしているため、処理内容によっては未だに最高峰のスーパーコンピュータといえよう。

2002年当時、高精度の環境シミュレーション結果を携えて現れた地球シミュレータ。
その存在に震撼したアメリカではコンピュートニクの到来、という見出しで大々的に報道された。
コンピュートニクの名は、冷戦時代に人工衛星開発で先を越されたソ連のスプートニクに準えたものだ。
つまり、世界を牽引する大国としての地位が脅かされるのではと、アメリカを驚愕させたのである。

本書は、そんな地球シミュレータを世に送り出した、地球シミュレータセンター長、佐藤哲也の著作。
2007年8月発行なので情報は新鮮。

テクニカルな話が多いのかなという予想とは逆に、コンピュータシミュレーションの生い立ちや存在意義について、1/3~1/2くらいの分量を割いていたのが印象的。
コンピュータシミュレーションは、核爆発など、現実には軍事利用が多いのだけど、もっと平和利用で役立つことに使いましょうよ、という著者の熱い思いを感じる。

とはいえ、やはり理系人間の自分にとってはテクノロジを扱った部分が面白い。
スカラとベクトルの処理系の違い、細分化するのではなく丸ごとシミュレーションできることの優位性などなど。

例えば、膨大なノードを集めて分散処理を行った場合、スパコンの能力は演算能力よりもデータ転送や同期処理に引っ張られるという話。
これは身近にある近年のPCにも言えることだろう。
処理内容にもよるが、全体のパフォーマンスはCPUの性能よりもメモリやHDDなどのI/O負荷に依拠する部分が大きいのだ。

また、コンピュータシミュレーションでは、スケールが大きく異なる二つの事象を同時に扱うのは凄く難しい。
数センチ単位の情報を演算し束ねあげ、数百キロ単位に伝播させることを考えれば、難しいのは当然だろう。
作中では、このスケールで全体を包括的にシミュレーションできるコンピュータは未来永劫出現しないとまで言っている。
故に、現実には簡略化できる部分については簡略化してしまい、シミュレーションを開始する。
もちろん簡略化を抑えれば抑えるほど、緻密で正確なシミュレーションは可能になるが、簡略化しても十分傾向がつかめる対象が多いのだ。
この辺りはトレードオフでもあるし、優秀なアルゴリズムの出現が待たれる部分だろう。

この本を読んでいて、ふと、分解能を上げていって絡む要因をすべて取り入れたとき、もう一つの地球ができあがるのだろうか?
・・・なんて、あれこれと妄想していたら、「神は沈黙せず」を思い出した。^^;
SFでも多く取り上げられそうな分野の話なんでしょうね。

地球シミュレータの生い立ちとコンピュータシミュレーションの歴史を知り、未来に想像を膨らませることのできる一冊だった。



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書評/サイエンス

  • [2007/09/11 08:53]
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「未来を予測する技術」佐藤哲也 を読んで

未来を予測する技術 (ソフトバンク新書)佐藤 哲也 地球シミュレータという、日本が世界に誇るスーパーコンピュータがある。 「地球シミュレータは、非常に巨大なコンピュータである。横65m、縦50m、高さ17mの巨大な体育館のような建物の中に納められている。四百億円という
  • [2007/10/08 01:29]
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