スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  • [--/--/-- --:--]
  • スポンサー広告 |
  • トラックバック(-) |
  • コメント(-) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法 (1/2) 

勝間和代さんの本はお初。
最近は書店の中の一角が勝間和代コーナーになっているほど人気のある著者。
数ある勝間本の中でも話題になっていた本書を、はじめの一冊として手に取ってみた。

本書のサブタイトルは“自分をグーグル化する”。
情報を索引付けし、そのインデックス情報を自分に集約する方法を極めようといった趣旨だと感じた。

一昔前に比べ今は調べれば情報がすぐに出てくる時代。
丸暗記よりも情報への道しるべ、即ち情報インデックスを沢山知っている人が有利になりやすい。
その中には単純に物事を調べる際のキーワード(語彙ともいえるかな?)を沢山知っていることも含まれるし、経験を重ねることで蓄積される情報もあるだろう。
特に後者は時間を重ねることでしか蓄積できない側面があるため、非常に貴重。

内容としては、情報を集める手段とツール・使い方を数多く紹介している。
情報を検索するためのキーワードを増やすための取り組みとして捉えるのはとても簡単だ。
さらに読み解くと、時間を有効活用し貴重な経験へと自分を導く方法を伝授してくれている。

とても実践的で、自分はこうしていますよ、という内容がふんだんに盛り込まれているので、非常に分かりやすいのがミソ。
さらに本やアイテム、テクニックなどのリコメンドが大量に収録されている。

膨大な量の情報をさばける人が求められる時代。
その高みへの道しるべとして、参考になる一冊だった。

※本書の内容メモは次回エントリへ


効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法
勝間 和代
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 2420

  • [2009/06/18 23:25]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]あしめし 

アシでメシが食えんのか、略して「あしめし」である。
漫画家のアシスタントを生業としている(いた?)葛西りいちさんが、漫画家のアシスタントとはどういった職業で、どんな生活を送っているのかを面白おかしく描いた漫画だ。
職場によって収入もばらばらなんだなーとか、食生活はこんななのかー、などと普段のアシスタント生活を垣間見ることができる。
アシスタントにつく漫画家のタイプによっても、仕事のあり方が大きく変わるそうで、その変容具合も面白い。

また、プロへ向けた活動は漫画家のアシスタントならでは。
持ち込みの雰囲気を紹介しつつ、その流れで変わった編集者の紹介に移るため、出版社の漫画編集部の様子も伝わってくる。
考えてみれば、大きな漫画プロダクションになれば一生アシスタントとしても食べていけるくらいの収入はあるわけで、食べていく術としてニッチなのか図りかねる世界だ。
(どちらかといえば極端な格差社会が築かれているのだと思うけど。)

ちなみに本書はもともとウェブに掲載されていた漫画を編集しなおしたもので、今も連載は続いている。
※収録分は削除されている

アシでメシが食えんのか
http://ashimeshi.blog17.fc2.com/



著者はウェブ連載をきっかけに、様々な雑誌で作品が掲載されるようになったようで、今は人気作家の道を歩み始めている模様。
ウェブを活路にして可能性を広げている存在として、ぜひとも活躍し続けて欲しいものです。

最後に、つい先日のインタビュー記事へのリンクを張っておこう。

「アシでメシが食えんのか」の葛西さんに聞く! 社会人は漫画家になれんのか(前編):IT&ウェブ業界の転職をサポートする「CAREERzine」(キャリアジン)
http://careerzine.jp/article/detail/580


「アシでメシが食えんのか」の葛西さんに聞く! 社会人は漫画家になれんのか(後編):IT&ウェブ業界の転職をサポートする「CAREERzine」(キャリアジン)
http://careerzine.jp/article/detail/581






そういえば、ウェブ発の漫画として「ぼく、オタリーマン」も記憶に新しいですね。
いつの間にかブログも始まっている。

ダンカン
http://dancom.jp/


よしたにの「大宇宙ひとりぼっち」
http://ameblo.jp/yoshitani


ぼく、オタリーマン。理系の人々
  • [2009/06/09 22:25]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]ウォール街のランダムウォーカー (2/2) 

前半部分の続き。

ここまでで過去のバブルを振り返りつつ、株価が形成される様子や移ろいやすさを知ることができた。
それでは、投資によりお金を増やすにはどうすればよいだろうか。

本書でまず示されるのは、「ダーツによりランダムに選んだ銘柄で組まれたポートフォリオでも、プロのファンドマネージャを上回る運用成績を叩き出せる」ということだ。

あらゆる情報を瞬時に組み込んで株価が形成されるため、投資のプロであるファンドマネージャですら株価動向を予測するのは簡単でなく、株式市場平均以上のパフォーマンスを出すのは難しいのだ。
売買手数料などのコストが多くかかることや、ファンドの運用資金が大きくなればなるほど運用が難しくなることも、パフォーマンス低下を招く大きな要因になっている。

これらの状況を顧みて著者がオススメしているのが、インデックスファンドの投資信託である。
資金が数多くの株式へ分散投資されるためリスクが低減されるし、無駄な売買手数料が発生しにくく、市場平均に連動するためほどよいパフォーマンスが期待できる。
旧来から株式で儲けを出そうと、テクニカル分析やファンダメンタル分析といった手法が多く開発されたが、それらを使った投資方法に比べても、インデックス投資は単純で高いパフォーマンスを期待できるのだ。

とはいえ、昨年のサブプライムローン問題に端を発した株価暴落のように、市場平均は大きく下げる可能性もある。
まさに今のタイミングだからこそ、本書の内容を鵜呑みにすることなく投資について慎重な姿勢で学ぶことができるのではないだろうか。
資本主義経済が編み出した複雑な金融工学を振り返る機会としても、今はよい時期なのだろう。
NHKスペシャルでも一連のシリーズが組まれており面白い。

NHKスペシャル|シリーズ マネー資本主義
http://www.nhk.or.jp/special/onair/money.html



そして投資をするのであれば、まず投資対象の選択肢とそれらの特徴を知ってから手を出したほうがよい。
金融商品それぞれでリスクの大きさが異なるし、集中投資するのか分散投資するのかによってもリスクの大きさが異なる。
また株式や債券の価格は、世の中の金利動向にも左右されるなどの特徴もあるのだ。
このような普遍的な知識を獲得するのにも、役立つ一冊になっていることも見逃せない。


ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理
バートン マルキール
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 1342

  • [2009/05/17 21:26]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]ウォール街のランダムウォーカー (1/2) 

投資で勝つためにはどうすればよいか、というポイントから話は始まる。
本書の結論としては「インデックスファンドを活用すべし」となるのだけど、その結論に至るまでの部分がとても面白い。
金融市場の歴史を紐解く中で、以下のような内容を紹介しつつ、話を展開させていく。
  • 数々の株価分析手法を紹介
  • 過去の熱狂的なバブルを紹介
  • 著名なファンドマネージャのパフォーマンスを調査


過去の熱狂的投機ブームの中でもよく知られているのは、次の二つだろうか。
  1. オランダのチューリップ・バブル
    1637年に発生した、オランダの熱狂的な投機ブーム。
    投機の対象がチューリップだったのが面白いところで、なぜそんなブームが発生したのか、未だに謎なんだそうだ。
    高価品種の球根であれば、豪邸と交換されることもあるくらいで、盲目的なバブルの恐ろしさが感じられる。
    食卓に飾ってあった球根を、価値の分からない国外からの来客が事情を知らずに間違えて食べてしまったという笑い話があるほどだ。

    注意したいのは、誰しもが同類のブームにはまってしまう可能性があることだ。
    ばかばかしいとは思っているのに、周囲の人たちが物凄い額の値上がり益を稼いでいたら、自分だけ手を出さずにいられるだろうか?
    「一ヶ月前に1万円で買った球根が100万円になったよー」なんて隣の同僚に聞かされたらどうだろう?
    狂気にともいえるバブルに発展するわけも分かる。

    チューリップ・バブル - Wikipedia
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%96%E3%83%AB


  2. 南海泡沫事件
    1720年ごろのイギリスで発生した、狂乱じみた投機ブーム。
    その発端となったのは南海会社という企業で、イギリスの財政危機を救済する目的で設立された。
    金持ち達が投資先を探していたこともあり、南海会社の株式は大人気。価格も暴騰した。
    驚異的な値上がりを続ける南海会社には、国王までが投資するにいたったこともあり、バブル崩壊の責任追及などはなく真相は闇に葬られた。

    また、投資資金がだぶついていたこともあり、会社の乱立にも発展。
    事業内容は「それっぽい」ことを書いておきさえすれば、名義だけの会社でも大もうけ間違いなしという恐ろしい状況だった。

    南海泡沫事件 - Wikipedia
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%B5%B7%E6%B3%A1%E6%B2%AB%E4%BA%8B%E4%BB%B6



後半へつづく。


ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理
バートン マルキール
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 1342

  • [2009/05/16 23:24]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]カリスマ受験講師細野真宏の経済のニュースがよくわかる本 日本経済編 

タイトルの通り、受験勉強を始める学生さんが対象のようで、懇切丁寧な仕上がり。
図をふんだんに盛り込んでいる点が特徴的で、とても分かりやすい。
経済についてちゃんと勉強をしたことがない私にとって、平易な内容はとても有り難かった。
経済入門に最適な一冊だと思う。

印象に残っているトピックは以下の通り。
  • 円高・円安の広範にわたる影響
    輸出企業、輸入企業への影響を含めて説明。
    サブプライムローンの影響をもろに受けている国内企業の様子がわかります。

  • 固定為替相場の話
    生まれる前のころなので、その頃の様子は全然分からないけれど。
    ドルの強さを象徴する時代だったのでしょう。
    当時は金(Goldね)が相場の裏にあって、アメリカはいつでもドルを金に取り替えますよーという姿勢をとって、固定相場を堅持していたそうだ。
    しかし、金への需要の高まりから、底をつき始めて、変動相場制へ移行したとのこと。

  • 日本銀行の公定歩合の意味合いの変化
    むかし社会の時間に習ったのは、民間銀行の金利を左右する意味合いを持った、日銀の金利だった。
    しかし今はコール市場、即ち銀行間の取引における金利の最高水準を左右する。
    具体的には無担保コール翌日物がターゲット。

  • 銀行同士のお金のやりとり
    日銀の買いオペ、売りオペとか。
    普段触れることが無い取引なので、勉強になることが多い。


以前に株式、債券、国債といった金融商品について勉強したことがあったので、さすがに知っている内容は多かった。
しかし、バブルの真っ最中と、砂上の楼閣が崩れ去った今の経済状況について、改めて見直すいい機会になったことは間違いない。
体系的に学びなおすことで、マクロ的な視点が強化されるのも見逃せない利点。



  • [2009/05/11 16:29]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]ウェブを変える10の破壊的トレンド 

2007年の本なので、今となってはやや古い内容。
経過した時間は2年くらいなのに、既に古いなと感じる箇所が多いあたり、ウェブ業界の動きの早さを感じる。
とはいえ、本書を構成する大まかな流れは示唆に富んでおり、Web界隈の流行が各章タイトルのコンセプトを内包して揺れ動いていることは間違いない。

ここ二年で台頭してきたWebサービスは何か、と考えたとき、ぱっと思い浮かぶのはSNSとマイクロブログだろうか。
米国に注目すれば、SNSだとFacebook, LinkedIn, MySpaceあたり。
マイクロブログではtwitter, tumplrあたりが代表か。

日本国内に注目すると、mixiやgreeなどのSNSがモバイルへの積極進出が印象的。
獲得ユーザ数の伸びは、広告収入の伸びにも現れており、目を見張るものがある。
日本のおけるモバイル業界の動きは情報を追いかけるだけでも精一杯な感覚だ。

サービス面でいえばモバゲーの台頭、ハードウェア面でいばiPhoneの発売などが印象深い。
マイクロブログはいまいち流行っていない印象があるけど、どうだろう。
twitterの日本語版や、Wasserが主要サービスなのだろうか。

一方、流行らなかったなーと思うサービスは、仮想化世界のサービスか。
これから流行る!と言われていたセカンドライフも、結局一度も流行ることの無いまま縮小傾向。
オンラインゲームも頭打ちしてしまったように見える。


最後に、本書がどんな内容を扱っているのか伺える、目次を引用しておこう。
どんなサービスに触れ、どんな予測をしているのか、なんとなく見えてきそうなキーワードが並んでいる。

プロローグ:破壊的トレンドとは何か?
第一章:ダイレクト(Direct)
第二章:フリー(Free)
第三章:クラウドソーシングCrowdsourcing)
第四章:プレゼンス(Presence)
第五章:ウェブオリエンテッド(Web-Oriented)
第六章:メタバース(Metaverse)
第七章:ビデオ(Video Hosting)
第八章:インターフェース(Interface)
第九章:サーチ(Search)
第十章:セマンティックテクノロジー(Semantic Technology)
エピローグ:破壊するものとされるもの


Web業界で糧を得る立場であれば、今後の動向を予測するヒントにもなり得るので、一度は手に取っておきたい一冊だと思う。


ウェブを変える10の破壊的トレンド (単行本)
4797346442
  • [2009/04/11 23:50]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]問題解決プロフェッショナル「思考と技術」 

1997年の本なので10年前以上経過しているわけだが、紹介されている技は今でも充分使える。
ここでいう技とは知識労働のための技術であり、本書で紹介しているテクニックの種類については目次に集約されている。

  • 思考のための技術
    1. ゼロベース思考
      名前の通り、先入観にとらわれず思考するためのテクニック。
    2. 仮説思考
      仮説を立て、問題に対峙すること。
      リサーチのスタート地点とも言える。

  • テクニカルな技術
    1. MECE(ミッシー)
      「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字をとってMECE。
      漏れなく、重複することもない。と、和訳そのままの意味。
      マッキンゼーが体系化した手法らしい。
      問題に対して解決策を考える場合、漏れがあってはだめだ!という意思は強く働くけど、重複に対する注意は薄いので気をつけたいところ。
    2. ロジックツリー
      MECEをもとに案を出し、それらをさらに発展させて具体的な解決策へと落とし込むための手法。
      論理的に分解し、整理を行うことで、ベターな解決策を導く。


そして、これらを組み合わせ体系化し、問題解決を実践するための「ソリューションシステム」が最後に紹介される。

それぞれのテクニックについての事例が紹介されており、理解はとてもしやすい。
コンサルを生業とする人たちは、問題解決のための思考フレームワークを教育として叩き込まれるようだけど、自分にとっては未知の領域。
積極的にインプット→実践をしない限り身につかない領域なので、貴重な一冊となった。

思考のためのテクニックに関しては、手持ちの武器は多いほうがよいはず。
直面した問題に対して、数あるラインナップの中から自分に適したものをピックアップできる。
特にホワイトカラーにとっての知的活動は生産性そのものであるため、成果に大きな差が生まれる可能性は高い。

自分の属している業種や職種に限らず、手にとって損はない一冊だ。


  • [2009/03/25 19:48]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]1日を2倍に使う!すごい時間術 

いわゆるライフハック系の書籍にあたる。(ライフハックってバズワード?)
とてもライトな内容なので好き嫌いはありそうだが、サクサクと読み進めることができるため、手軽に読むにはよい一冊。

時間を巧く使う術についてのヒントが沢山つまっており、多くの示唆を与えてくれる。
他の書籍と言っていることがま逆だったりするので、自分にとって合うのか合わないのか、読者自身で考えながら読んだほうがよい。

参考になった点を以下にまとめておこう。
  • 細々した隙間時間で片付けられるタスクを挙げておこう
    自分にとって一番参考になった点。
    隙間時間も積極的にスケジュールに含めておくことでことで、余裕を持たせつつ細々したタスクを片付ける時間の確保にも繋がる。

  • 時間ドロボウを回避しよう
    時間の浪費にも、自己完結型と他者介在型があり、前者は自分が改善に取り組めばよい。
    他者介在型についても、予備を考えておくなど保険を設けることで回避できることが多い。

  • 優先順位
    緊急仕事が入って仕事が減らないという人もいるけど、緊急度ではなく重要度を考えよう。
    重要度を見切り、場合によっては切り捨てることも必要。
    やらないこと、を決めるのも大切なことなのだ。

  • スケジューリングのテクニック
    プライムタイムを自分でおさえておく。
    上司や同僚の予定も抑えておき、自分の仕事に集中できるかどうかを予想しておく。

  • 時間意識を持とう
    他人の時間ドロボウにならない。
    時間についても ROI(return on investment)、すなわち投資効果を意識しよう。


ここで挙げたのは、本書で扱っている数々のティップスのうち、ほんの一部。
どちらかといえば浅く広くといった感じのライフハックなので、入門書によい一冊だと思う。


1日を2倍に使う!すごい時間術 (DO BOOKS)Amazonで購入
書評/ビジネス

  • [2009/03/20 22:22]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]油屋店主の旨いものレシピ 油屋ごはん 

明治3年から続く老舗の油屋「金田油店」。
140年の間に蓄積された知識と、その知識を活用したノウハウやレシピを惜しげなく開示している貴重な一冊。
良質の油をテーマにしているだけあって、油をふんだんに取り入れたレシピが多く掲載されている。
色鮮やかな光沢を放った料理の数々は芸術的な美しさをも秘めている。
さらにレシピだけではなく油の種類や保存方法、活用方法など、油を利用する側からの視点で数多くの補足情報がちりばめられている。

著者の青木絵麻さんは、金田油店のECサイト店主を勤めているそうだ。
老舗といえども、顧客にリーチするための新たなチャネルを模索している姿勢は興味深い。
そして、ウェブ上でのアウトプットとして続いているのが、本書の元になっているレシピサイト「油屋ごはん」。
油屋主人の持つ知識をフル動員したレシピの数々は、眺めているだけでも垂涎モノ。

油屋ごはん
http://abura-ya.seesaa.net/



こだわりのあるラー油の作り方や、油の種類の解説なども掲載されており、書籍化にあたってお得な情報も数多く付け加えられている。

最近になって自炊生活に復活しつつあるのだけど、本書のレシピも徐々に試していきたいところ。
それにしても酒の肴になりそうなものばかり・・・食べすぎ呑みすぎには配慮しなければ。
ハッピーな食生活を送るにあたって、良質の油に関する知識と利用方法を習得することが、大きく貢献するのは間違いない。

参考:
えごま油等厳選食用油、手作り石鹸用オイルの店【金田油店】
http://www.kaneda-aburaten.com/




油屋店主の旨いものレシピ 油屋ごはん
Amazonで購入
書評/グルメ・食生活

  • [2009/03/16 21:32]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]そして二人だけになった 

森博嗣の長編。
とはいえ、文庫本一冊の分量に収まるボリュームなので、十冊単位のシリーズものを沢山書いている著者にとってみれば短いほうか。

S&Mシリーズ、Vシリーズ、四季シリーズと森作品を読んできたが、年代が新しくなればなるほど、重点がトリックからストーリィに移っている。
そんな観点で「そして二人だけになった」を捉えると、トリックが光った作品といえよう。
出版された次期も S&Mシリーズと Vシリーズの間あたりで、初期の頃の一風変わったトリックを彷彿とさせる。

難しいトリックに加え、登場人物や舞台の移り変わりを理解するのが大変で、難解なミステリィに仕上がっている。
読んでいる最中は、視界の悪い霧の中を手探りで進んでいる感覚だった。

序盤はいわゆる密室モノなのだが、中盤からはジェットコースタに乗っているような感覚で、がんがん展開が進み、新たな光景がまっている。
後半についても予想はできる範囲だったのだけど、解釈を深く掘り下げており、非常に楽しめた。

事象を観察する主体により、あらゆる事象の解釈は異なるものだ。
というのが、本書から得た教訓。


関連:
本ブログで「森博嗣」で検索した結果
http://heavyfeather.blog38.fc2.com/?q=%BF%B9%C7%EE%BB%CC



そして二人だけになった―Until Death Do Us Part (新潮文庫)
森 博嗣
新潮社
売り上げランキング: 17946

  • [2009/03/04 18:10]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]夏と花火と私の死体 

幼少の頃には誰もが持っているであろう、無邪気な残酷さが際立った作品。

乙一作品の面白さは、ユニークな視点で描く物語にあるように思う。
なんとなく展開が読めてしまう物語にも関わらず、一瞬一瞬のシーンにどのような視点のギミックを盛り込むのか。
そこが気になって、ページをめくる手が止まらない。

本書の後半には「優子」というタイトルの短編が収録されている。
こちらも「夏と花火と私の死体」と同様、視点のおもしろさがあるのだけど、個人的にはこちらの方が好み。
事象を観察する主体を切替えながら、巧みに組み上げられたストーリィには、心を鷲づかみにされた。

有機物・無機物を問わず、種々の切り口で事象を描き出す想像力のたくましさ。
物語に乗せられている情報は少ないのに、読者の想像力をかき立てる文章は一流の証なのだろう。

以前にGOTHを読んだときに感じた、凛とした冷たい雰囲気をまとった点も共通していた。

関連:
heavy monologue | [読書]GOTH
http://heavyfeather.blog38.fc2.com/blog-entry-940.html



夏と花火と私の死体 (集英社文庫)
乙一
集英社
売り上げランキング: 13612

  • [2009/02/25 20:17]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[映画]WALL・E(ウォーリー) 

数週間前になりますが、ピクサーの新作「WALL・E」を見てきました。

会社の同期からは評価が低く、逆に先輩からは高評価という同作品。
自分の感想はというと・・・とても面白かったです。

ピクサーのお家芸であるリッチな演出と、描かれるディテールの細かさは健在。
スピード感のある描画もよく、あっという間の二時間弱でした。

ストーリ自体はありがちではあるものの、そこはディズニー+ピクサーのアニメーション映画。
ストーリーに頭を使わせるよりも、美しい表現で魅せるのが、正統な流れを汲んだ作品作りなのでしょう。


参考:
WALL・E/ウォーリー
http://www.disney.co.jp/movies/wall-e/



ディズニー アクションフィギュア WALL・E (ウォーリー) ディズニー アクションフィギュア EVE (イヴ)

ウォーリー
ウォーリー
posted with amazlet at 09.02.06
サントラ マイケル・クロフォード ピーター・ガブリエル ルイ・アームストロング
ウォルト・ディズニー・レコード (2008-12-03)
売り上げランキング: 10706

  • [2009/02/06 19:59]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

2008年ブックランキング(その他) 

【その他】
  1. ビッグバン宇宙論

    ビッグバン宇宙論 (上)ビッグバン宇宙論 (下)

    宇宙の始まりはビッグバン、というのは通説。
    なぜそれが世間で一番受け入れられるに至ったかを、歴史を紐解きながら教えてくれる。
    サイエンスライタのサイモン・シンの新作だ。


  2. ニュー・ニュー・シング

    ニュー・ニュー・シング

    現在のシリコンバレー文化を根付かせるきっかけになった、ジム・クラークについて書いている。
    シリコングラフィックスや、ネットスケープなど、複数の上場企業を生み出した手腕の凄さを感じる。


  3. 地球温暖化の予測は「正しい」か?

    地球温暖化の予測は「正しい」か?―不確かな未来に科学が挑む(DOJIN選書20)

    エコブームな昨今、科学的な知見から正しく地球温暖化を理解している人はどのくらいいるんだろう。
    そんな温暖化問題について、最先端の研究を垣間見られる一冊。


  4. 中国の環境問題 今なにが起きているのか

    中国の環境問題 今なにが起きているのか (DOJIN選書 12)

    中国といえば、2008年の北京オリンピックが記憶にあたらしい。
    その中国が抱える問題の一つに、深刻な環境問題があるのだけど、それらの問題についての現状を教えてくれる一冊。


  5. 戦場の生存術

    戦場の生存術 (中公文庫)
    柘植 久慶
    中央公論社
    売り上げランキング: 178748


    戦場で生き残るには、どう振舞うのがよいのか。
    傭兵生活で培われた、究極のサバイバルについて解説をしている。
    生涯の中で役に立つ時がくるかは謎だが、普段決して触れることの無い世界を垣間見させてくれる貴重な一冊といえる。



  • [2009/01/23 08:29]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

2008年ブックランキング(実用・ビジネス) 


【実用・ビジネス】
  1. サブプライム問題とは何か

    サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254) (宝島社新書)サブプライム後に何が起きているのか (宝島社新書 270) (宝島社新書)

    昨年起きた、サブプライム問題について勉強したい方におすすめ。
    無知な状態から読んでも分かる解説が魅力。
    経済に詳しい人が読むには物足りないかも。


  2. ユダヤ人大富豪の教え 幸せな金持ちになる17の秘訣

    ユダヤ人大富豪の教え 幸せな金持ちになる17の秘訣 (だいわ文庫)

    マネーリテラシーの一環として読んでおきたい一冊。
    生き方についても考えさせられる部分があるかも。


  3. 予想どおりに不合理

    予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

    行動経済学の興味深い実験をまとめた一冊。
    人間の行動には不合理なものが多いんだなーと痛感させられる。

  4. ヒューマン2.0

    ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない) (朝日新書)

    シリコンバレーの文化と、その圏内で生活する人たちの様子が垣間見られる。
    こんな生き方もあるんだと、視野が広がる感覚。


  5. パラダイス鎖国

    パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)

    グローバル化の進む世界において、日本の立場がどのように捉えられているかを教えてくれる一冊。
    その立場の危うさと、今後の指針について考えさせられる。


  • [2009/01/22 23:28]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

2008年ブックランキング(文学作品) 

年始からバタバタと書評エントリが続いたのは、それが終わらないとまとめエントリが書けなかったからに他ならない。
我ながら溜めすぎだ。(そして書けていない書評がまだまだある・・・)

閑話休題。
2008年もよい本に沢山出会いました。
読了冊数は60くらい。遅読の自分にしては、ぼちぼち頑張った。
今年は数もそうだけど、ビジネス・実用書の数を伸ばしたい。

2008年に読んだ本の中で、印象に残った本を以下にご紹介。
それぞれよかった順。
(タイトルクリックで書評エントリに飛びます)

【文学】
  1. ぼくは勉強ができない

    ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

    初めて手にした山田詠美作品。
    その後も幾つか読んだけど、これが一番好きです。




  2. 凍 (新潮文庫)

    冬に読みたい一冊。
    読んでいるだけで寒さを覚える、究極の冬山登山劇。
    ノンフィクションということを知って、さらに衝撃を受けた。


  3. 大聖堂

    大聖堂 (上) (SB文庫)大聖堂 (中) (SB文庫)大聖堂 (下) (SB文庫)

    宗教と権力について考えさせられる長編。
    中世ヨーロッパの生活風景を想像してしまった。


  4. GOTH-僕の章-、夜の章-

    GOTH 夜の章 (角川文庫)GOTH 僕の章 (角川文庫)

    初の乙一作品。
    独特の雰囲気をまとっていて、ハマる人がいるのも分かる。


  5. 蝶々の纏足・風葬の教室

    蝶々の纏足・風葬の教室 (新潮文庫)

    山田詠美作品。
    やや重い内容だけど、面白い。




  • [2009/01/22 16:28]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]大聖堂 

読み終える頃には、モンサンミッシェルが頭の中に浮かんでいるような、重厚で厳かな気持ちを抱かせる長編文学作品。
文庫で上中下巻、トータル2000ページくらいはあるんじゃないだろうか。
たっぷりと時間をかけて、中世ヨーロッパの世界観へ浸るにはぴったりだ。

タイトルの「大聖堂」は、その名の通りキリスト教の建造物。
荘厳かつ壮大な建物を物語の中枢に据え、タイトルに持ってきている点が印象深い。

教会に対する国王・領主・騎士たちの振る舞いが絶妙で、権力争いという微妙な問題を面白く表現している。
さらに、フォーカスを特定の家族に当てながら、大聖堂に運命を翻弄される様子を空間・時間の両面で壮大に描いている。
中世の宗教とその権力、さらには一般市民の暮らしぶりが眼前に示されたような感覚だ。

また物語構成がハードで、小野不由美作品を読んでいるような感覚に陥った。
気分が重くなったり、急に明るくなったりと緩急に飛んで上、読後感は感慨深さが残る。

西洋の長編文学作品を求めている方には、おすすめな作品。

参考:
モン・サン=ミシェル - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%B3%EF%BC%9D%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AB



大聖堂 (上) (SB文庫)
大聖堂 (上) (SB文庫)
posted with amazlet at 09.01.20
ケン・フォレット
ソフトバンク クリエイティブ
売り上げランキング: 6676

大聖堂 (中) (SB文庫)
大聖堂 (中) (SB文庫)
posted with amazlet at 09.01.20
ケン・フォレット
ソフトバンク クリエイティブ
売り上げランキング: 36772

大聖堂 (下) (SB文庫)
大聖堂 (下) (SB文庫)
posted with amazlet at 09.01.20
ケン・フォレット
ソフトバンク クリエイティブ
売り上げランキング: 13724

  • [2009/01/20 16:11]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]地球温暖化の予測は「正しい」か?―不確かな未来に科学が挑む 

本書で一番注目したいのは、実際の研究者が執筆している点だ。
その解説はシンプルで、科学的な視点に則っているため明快。
環境問題の一つとして「地球温暖化」はよく取り上げられているものの、現役研究者のまとまった意見に触れる機会は少ない。
語り口も冷静で中立的な立場をなるべく崩さないよう文章が練られているため、貴重な一冊といえそうだ。
擬似科学が世にはびこる中、コンピュータシミュレーションの結果を紹介しつつ、解析結果を解説する構成は信頼感がある。

近年「地球温暖化」は注目を浴びているだけあって、世界の各機関で研究が進められている。
人類が気候に与える影響やその対策方法など、分かってきたことも多いようだ。
日本においても気候や温暖化といった環境の研究は進んでおり、日本が誇るスーパーコンピュータ“地球シミュレータ”が大活躍。
本書でも特にコンピュータシミュレーションの研究結果を紹介しつつ、以下のような考察を行う。

  1. 温暖化が本当におきているか
  2. それは果たして人類の所為なのか
  3. ますます温暖化は進むのか
  4. コンピュータでシミュレーションをするための気候モデルと、パラメタについて紹介
  5. 研究の中では、一体何が予測されているのか
  6. コンピュータシミュレーションの予測は正しいか。不確かさはどのくらいか。(モデルの多様性が重要)
  7. 気候の研究とカオスについて


本書を通して、定性的な考えから、定量的な視点へ移れたのはとても嬉しい。
環境問題が叫ばれる中、最新研究の一部を把握したいという人にオススメしたい一冊だ。


なお、温暖化に関する研究に従事したい場合には、国内だと二箇所の有力候補がある、ということも本書で知った。


関連:
heavy monologue | [読書]未来を予測する技術
http://heavyfeather.blog38.fc2.com/blog-entry-802.html


疑似科学 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%96%91%E4%BC%BC%E7%A7%91%E5%AD%A6


heavy monologue | 地球温暖化と海面上昇
http://heavyfeather.blog38.fc2.com/blog-entry-988.html




地球温暖化の予測は「正しい」か?
Amazonで購入
書評/サイエンス


未来を予測する技術 (ソフトバンク新書 46) (ソフトバンク新書)
佐藤 哲也
ソフトバンククリエイティブ
売り上げランキング: 76163

  • [2009/01/16 17:06]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]サブプライム問題とは何か 

昨年を象徴する出来事といえば、サブプライムローンに端を発する経済の崩壊を挙げる人も多いだろう。
しかし、サブプライムとは何なのか、その背景に潜む問題点はなんだったのか、を理解していない人は案外多いのではないだろうか。
そんな人たちにオススメしたいのが、この一冊。

本書では、サブプライムローンに潜む種々の問題を、金融の歴史・日本とアメリカの文化の違いを通して、平易に教えてくれる。
もちろんサブプライムローンを語る際に避けられない、他の金融商品についても触れているため、浅くではあっても問題を俯瞰するために適した内容に仕上がっている。

自分にとって刺激的だったのは、日本とアメリカのお金に対する考え方だ。
日本では貯蓄額や資産をステータスとして捉える現物志向なのに対し、アメリカではどれだけ借金ができるか(つまり信用があるか)に重きを置く。
この背景には行き過ぎた金融工学が潜んでいるのだ。

サブプライム問題に端を発した被害は波及しつづけ、昨年には投資銀行の老舗リーマンブラザーズが破綻した。
日本国内を見ても、トヨタやソニーといった超大手優良企業の赤字転落など、周囲の状況は大きく様変わりしている。

こんな状況下で、のほほんとはしていられない。そんな警鐘に気づかされる一冊だ。
世間で騒がれているサブプライム問題とは何なのか。
まさにタイトル通りの内容に仕上がっている、良書だと思う。





その後、も読んでみたいところ。


  • [2009/01/13 23:30]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]ユダヤ人大富豪の教え 

タイトルの通り、富豪との対話を通じて、お金に対する考え方・姿勢を学ぶための一冊。
もちろん本書で言っていることが絶対なわけではなく、お金に対する視点の一つの形だと思った方がよい。

ベストセラーになっただけあって、新鮮な視点を与えながらも穏やかな内容にまとまっており、一般受けがよさそうだ。
真に受けすぎるとハングリ精神が失われそうだな、と個人的には感じた。
何よりも大切なことは、お金に振り回されるのではなく、自分で意識や姿勢をコントロールできるようになることだ。

本書には沢山のエッセンスが含まれているのだが、中でも一番印象に残ったのは「第8の秘訣 お金の法則を学ぶ」。
秘訣は次のような項目でまとめられている。
  1. たくさん稼ぐ
  2. 賢く使う
  3. がっちり守る
  4. 投資する
  5. 分かち合う


言葉だけだと簡単そうに感じるのだけど、実際お金を賢く使うことはとても難しい。
人が価値を判断するときには相対的な感覚が先に働くため、絶対的な感覚で本来の価値をはかることが難しいのだ。
そして、価格がどんなに安くても、そのモノ本来の価値よりも高いと思えば買わない姿勢を貫くことは、なかなかの苦行だろう。

また、無意識にお金に対してネガティブなイメージを植え付けられている点も鋭い指摘。
お金に関して争うシーン、無駄遣いをして怒られる、使い方に関しての小言、などお金にまつわる争いは絶えない。

日本はお金に関する教育が弱いと言われることがあるが、まさに教育のために使いたい一冊だと感じた。
金銭に関する話題というのはセンシティブな面もあるため、他の人と意見交換するチャンスはあまり無い。
本書をもとにして、そのような意見交換を行えるだけでも、648円の価値はあるのではないだろうか。




また、根底に流れる思想は、この本ととても近いものを感じた。

heavy monologue | [読書]自分の小さな「箱」から脱出する方法
http://heavyfeather.blog38.fc2.com/blog-entry-615.html




  • [2009/01/12 00:28]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]凍 

冬にこそ読みたい、身も心も凍り付くような雪山の極寒体験。
壮絶な登山劇と、生涯にわたって山と向かい合うストイックな姿勢に感嘆させられる。

本書の主人公は、登山家の山野井泰史氏。
アルパイン・クライミングのプロフェッショナルであり、ビッグウォールをソロで登攀することにかけては随一の人物だ。
登頂を目的とし、岸壁を自らの四肢と道具を使って登攀していくのがアルパイン・クライミング。
これにはフリークライミングだけではなく、アイスクライミングや道具を使った人工登攀など、総合的なスキルが求められる。

7000~8000m級の凍りついた巨大な岸壁を登っていく様子は、文章だけでも圧倒的。
ソロのアルパインスタイルを採用し、巨壁を攻略していく凄さもひしひし伝わってくる。

本書では、ヒマラヤの高峰・ギャチュンカンへの挑戦をメインテーマにしている。
8000m級の高峰が集う場所で、8000mにわずか数十mだけ届かないがために、ほとんど無視されてきたギャチュンカン。
その魅力に山野井氏がとりつかれるまでの様子や、綿密な準備期間、さらに登頂後の様子など長いスパンの物語に仕上がっている。
日常の様子がクライマックスシーンへの下ごしらえとなり、架橋に入るころにはばっちり感情移入。
登攀シーンではドキドキ感が最高潮を迎えるといった仕掛けだ。

本作品がノンフィクションであることも驚きなのだが、雪山との戦いを淡々と描く様が、物語をよりリアルに感じさせてくれる。
クライミングのことを知らない自分でも充分に理解できるだけの解説を備えており、クライミングの世界を垣間見られる楽しさも味わわせてくれる。

野外活動が好きな人に限らず、男には総じてうけそうな野生を感じる一冊。
2008年に読んだノンフィクションの中で、最も面白い作品だった。


参考:
山野井泰史 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E9%87%8E%E4%BA%95%E6%B3%B0%E5%8F%B2


アルパイン
http://climbing.x0.com/yamanoi-report.htm


アルパイン・クライミング - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%91%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0



凍 (新潮文庫)
凍 (新潮文庫)
posted with amazlet at 09.01.08
沢木 耕太郎
新潮社
売り上げランキング: 172174

[読書]恋愛ニセ科学 

mixiで公開していた日記が話題となり、出版にいたったという本書。
Web上の文書が元となった書籍としては「電車男」や「鬼嫁日記」が思い浮かぶが、本書もその流れに乗ったものと言える。
とはいえ、電車男は匿名掲示板(2ちゃんねる)、鬼嫁日記はブログ、そして恋愛ニセ科学はSNS(mixi)と、詳細まで考えればメディアの種類が異なる。
SNSという閉じたコミュニティでうけた文書が、書籍として一般の人たちに受け入れられるか注目したいところだ。
# 今となっては、mixiが閉じているかは微妙だけど

さて、本書の内容はというと、タイトルどおり恋愛に関するコラムが沢山収録された一冊だ。
あまりモテないという視点で、恋愛にまつわる様々なシーンを面白おかしく描いている。
ただ、著者のくま氏は京大出身の女性で、読み進めていくとモテている印象の方が強くなってくる。(笑
そんな微妙な具合がスパイスとなって、本書をより面白いものに仕上げているのは間違いない。

また、各コラムの間には読者とのやり取りを収録している点も見逃せない。
元のmixi日記についていた、読者からのコメントと著者のレスを収録することで、各コラムの間でメリハリをつけることに成功しており、好印象。
読者のコメントを通し、様々な恋愛感を感じ取りながら、同調や反論を抱けるのも刺激になっている。

ところで「Webサイト発」と聞くと目が向かうのは、紙媒体になったときの組版だったりする。
走りの電車男が出版された当時は、
  • アスキーアートをどのように組むのか
  • ブラウザで眺めた際の行間や強調表現などを紙の上でどのように表現するのか
といった問題はなかなかの難題として捉えられていた。
これは前例がほとんど無かったことに起因するが、その後、PCだけではなくケータイ小説の書籍化などにより製版会社が地力をつけ、今では紙面でWebの雰囲気を巧く表現できるようになった。
本書においても、ときどき現れるアスキーアートや、フォントと背景色の使い分けにより、元々の文書の雰囲気により近くなっているように思う。

このように、面白おかしい恋愛コラムを読みたい人にはもちろんオススメだが、「Web発の書籍」という視点で読んでもとても楽しい一冊に仕上がっている。


恋愛ニセ科学 恋の進化論Amazonで購入
書評/



電車男 (新潮文庫)
電車男 (新潮文庫)
posted with amazlet at 09.01.05
中野 独人
新潮社
売り上げランキング: 140375

  • [2009/01/05 19:02]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(2) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 

今、世界の中で日本は孤立しつつある。
強大な内需に支えられ、パラダイスと化した日本。
それはガラパゴスのように孤立した状態にあり、ある種の鎖国に陥っているというのが著者の海部美知さんが展開する主張。

海部美知さんはシリコンバレーでコンサルティング会社を経営しつつ、子育てに勤しむお母さんとしても活躍なさっている。
子育て関連としてはベビーシッター関連のエントリが記憶に新しい。

[ベビーシッター] - Tech Mom from Silicon Valley
http://d.hatena.ne.jp/michikaifu/searchdiary?word=%2a%5b%a5%d9%a5%d3%a1%bc%a5%b7%a5%c3%a5%bf%a1%bc%5d



さて、本書の感想はというと。
国際社会における日本の立場を考えながら読み進めるうちに、徐々に日本への危機感が芽生えてくる。
とはいえ、警鐘の中にもからっとした明るさを含んでいるため、暗澹たる気分にはならないのが素敵なところ。
ガラパゴス状態を単純に悪いといっているわけではなく、国際社会の中で日本がどのように振る舞っていくべきかを一緒に考えられる語り口。

今の日本は内需が強大で、海外へのあこがれが薄くなってしまった。
従来は機械などのものづくりで成長を遂げたが、半導体技術の競争でアメリカがもうけた規制の影響で、ずるずると国際競争力が弱くなっていく。
現在ではコンテンツ産業で盛り返しているが、未だ明確な光明は見えないでいる。

そんな日本を、著者は孤高のマイノリティだと表現している。
世界の中でも特殊な存在で、非欧米かつ非白人の国で先進国入りしているのは日本だけなのだ。
今後の日本は多様性を取り入れて国際社会での台頭を目指すことになるのだろうか。
その指針として、著者は以下のような提案を行っている。

・プチ変人を積極的に育て、受け入れる
・ニッチでもインセンティブを探す、ロングテール戦略
・個人の戦略としてのグローバル化

それぞれの具体的な内容は著作を読むと深く理解できるだろう。

今後の日本を考えるという意味で、20代~30代の人が読むと、想像がしやすく行動に移せてよいかもしれない。
10代には自分のキャリアパスを考えよい指針になりそうだ。
国際社会を考えるための一冊として、学生から社会人まで広くお勧めできる。


参考:
Tech Mom from Silicon Valley
http://d.hatena.ne.jp/michikaifu/



パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)
海部 美知
アスキー
売り上げランキング: 322

  • [2009/01/04 18:10]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]卒業―雪月花殺人ゲーム 

東野圭吾の加賀恭一郎シリーズ、第一冊目。
1986年発行の初期作品だけあって、文章や世界感、さらにはトリックまでやや古めかしい印象を受けた。
しかし、それでも面白く読ませるあたりが一流。

主人公たちは学生という身分。
事件がサークル活動を含めた形で起きることもあり、日常生活の中で実際におきそうな雰囲気を纏ったストーリーだ。
考え込むことなく気軽に読めるところはポイントが高い。
続くシリーズも読みたくなってしまった。


東野圭吾 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E9%87%8E%E5%9C%AD%E5%90%BE



卒業―雪月花殺人ゲーム (講談社文庫)
東野 圭吾
講談社
売り上げランキング: 11809


  • [2008/12/24 19:24]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]ニュー・ニュー・シング(NEW NEW THING) 

起業家ジム・クラークの伝記と言えそうな一冊。
3DCGの大家シリコングラフィックス社を作り、Webブラウザの先駆けネットスケープ社を創業→株式公開で莫大な資産を築き上げた男。
スタートアップが集う町“シリコンバレー”に、その文化を根付かせた人物といえよう。
元々は大学の先生をしていたとは思えないほど気難しい気質だが、根っからのアントレプレナであり、エンジニア視点を以って上場企業を3社も生み出したのだ。

ジム・クラークが生み出した企業の中でも有名なネットスケープへの資金流入は、まさにITバブルの始まりを象徴する出来事だった。
赤字を垂れ流している企業であっても将来性を見込んで株式に莫大な価格がつくという、一見不思議なお金の流れが発生するようになった。
そして複数の上場企業を作り上げたジム・クラークを、ウォールストリートの面々はある種の錬金術師と認めたことが、その流れを加速させた。
自然、スタートアップ企業のゴールは、株式上場により莫大なお金を手にすることに設定された。

ジムクラークは、その後もネットワークに接続されたテレビや、医療業界に切り込むソフトウェアなど、数々のコンセプトをぶちあげ企業。
医療ソフトウェアサービス会社「ヘルシオン」が上場するなど、莫大なお金を集めた。


本書には、上記のようなエピソードが沢山収録されており、ジム・クラークの歩んだ道をなぞることができる。
通読して感じたのは、自らが立ち上げたそれぞれの会社で重要な要素を学び取り、次の起業に結び付けている点が、複数の上場企業を生み出す実力に結びついている。
シリコングラフィックス社ではスーツ族との対立を経験し、エンジニアの立場を尊重する文化をネットスケープで堅守した。
そのネットスケープ社では、IEをひっさげたマイクロソフトと真っ向勝負するなど、ブルーオーシャンがレッドオーシャンに変貌を遂げる中で血みどろの争いを経験している。
生涯を通してマイクロソフトとぶつかり合ったという点は見逃せない点だ。
大企業に睨まれることのプレッシャや、スーツ族との駆け引きを熟知しているあたりが、一流起業家たる所以なのだろう。

ジム・クラークの生涯を通して、シリコンバレー文化を黎明期からなぞることができる一冊だ。


参考:
ジム・クラーク (事業家) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%AF_(%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E5%AE%B6)


「ニュー・ニュー・シング」を読もう
http://www.mochioumeda.com/archive/biztech/001218.html



ニュー・ニュー・シング
マイケル ルイス
日本経済新聞社
売り上げランキング: 41725

  • [2008/12/17 21:19]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]予想どおりに不合理 

日頃の行動を客観的に観察してみると、実に不合理な選択をしていることがわかる。
そんな事実を、様々な実地実験を通して示してくれる一冊だ。

冷静に考えればそんな選択はしないはずなのに・・と、ショックで軽く眩暈がしてしまう感覚。
しかし誰しもが図星である部分を備えており、納得せざるを得ない結果ばかりなのが、さらなるショックを引き起こす。

このような実際の行動と照らし合わせて経済動向を考える分野を「行動経済学」という。
この本はまさしく「行動経済学」を扱った本で、数々の楽しい実験を通して、行動経済学の一端を垣間見せてくれる。
実際の行動を観察する、という部分が基礎になっている分野だけあって、理論を提示して読者を納得させるなんてことはしない点も素敵。

原著は“Predictably Irrational”、MITのAriely教授による著作だ。
文末の参考リンクでもいくつか書評記事を紹介するが、全てにおいて高評価が下っているあたり、この分野でも注目すべき一冊なのだろう。
本書で言っていることは、ある意味では簡単だ。
普通の経済学は人間の消費行動を理想的なものとして捉えているけど、実際には不合理な選択を沢山しており予想が非常に難しい、ということを示している。
それを導くために、345ページに渡って面白い事例がちりばめられている。

中でも面白かった指摘や気付きを幾つか挙げよう。
(皆、薄々気づいていることばかりではあるのだけど)


  • 相対性の真相と、需要と供給の誤謬
    人間は絶対的な価値で物事を捉えるのがとても苦手であり、大抵は他の物と比較して物事の価値を判断している。
    この手法は広告にも応用されているし、自身の判断基準としても根付いてしまっている。
    そして判断基準としての価値観は、初めに植え付けられた印象に強く引きづられる。
    その威力は想像以上で、インプリンティングはひな鳥だけではなく、人間を操るにも強力な手段になりうることに気付く。

  • ゼロコストのコスト
    無料と謳うことの威力、これもまた想像以上だ。
    金銭価値としては同じだけ割引しているのに、無料になったとたん人は群がるという事実。
    そして無料の魅力に抗うことが難しいのも事実なのだ。
    世の中に「無料」を謳ったサービスや売り方は数多いけど、その威力を知っているのと知らないのとでは、対峙の仕方が異なってくるはず。

  • 社会規範のコスト
    社会規範である、という認識下での行動は、コスト意識を著しく減少させる。
    貨幣による報酬が与えられたとたん、楽しさが減り、取り組む人がいなくなってしまうのだ

  • 性的興奮の影響
    性的興奮の環境下ではまともな判断ができないというのは、なんとなく直感的だけど、その度合いは想像を遙かに超えている。
    異性の魅力に振り回されないよう注意しましょう。w

  • 選択肢を切る
    人は選択肢を与えられると、ほとんど差がなくてもなるべく全てを残しておきたくなる。
    選択肢を切ることには、精神的に強いストレスを感じるようだ。
    ただ、数ある選択肢からどれかを選ぶという行動は、時間が一番貴重な資源となった今という時代においては重要なファクタになるだろう。
    Webが普及したおかげで、良くも悪くも出来ることが膨大に目の前に見えるようになってしまった。
    全てをちょっとずつ、というのは魅力的に映るのだけど、浅く広くで終わる可能性が高い。
    子供に沢山のことをさせたい、という思想を持つ親は多いだろうけど、行き帰りや準備の時間を考えると、他方のスキルをどれだけ伸ばせるだろうか?
    この指摘は、自分にも当てはまる部分が多くて、反省させられる内容だった。

  • 価格の力
    人は価格が高い方が、効果があるに違いないと考えてしまう。
    これはいかにもありがちな感覚で、薬や手術など深刻な事態になるほどその傾向は顕著だ。
    「プラセボ効果」が生まれるだけのことはある。

  • わたしたちの気質の背景
    不正が少しでも可能な状況下では不正に走りやすい
    そして、どれだけ不正がしてもばれないような状況であっても、一定水準以上の不正しない。
    普段健全な人でも、多くの割合でこんな行動を取るというのは、なかなかの衝撃。
    自分は正直で正しくありたいという思いが、大きく箍を外すことをとどめるが、不正だと考えない程度の不正には至りやすいのだ。
    さらに現金に直接触れる場合には不正の大きさが少ないのに対し、何か他のものを介した途端、不正の大きさは急に深刻なものになる。
    罪悪感が働きにくくなるのだ。



もちろん人の行動は文化にも大きく影響されるため、アメリカにおける実験には納得のいかない部分もあるだろう。
しかし、それを考慮に入れても、人が如何に不合理な行動を取っているのかを知ることはショッキングだ。

一般の人が読むと衝撃的な実験に関心させられることしきり。
マーケティングや広告などビジネス的な視点から読むと、新しい切り口での提案が可能になりそうだ。
すなわち、万人にオススメの一冊といえる。


参考:
Predictably / Irrational
http://www.predictablyirrational.com/


404 Blog Not Found:予想以上に合理的! - 書評 - 予想どおりに不合理
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51142124.html


シロクマ日報 > 『予想どおりに不合理』を読んだ後は、『人は意外に合理的』をどうぞ : ITmedia オルタナティブ・ブログ
http://blogs.itmedia.co.jp/akihito/2008/11/post-8d9e.html


ぽっぺん日記@karashi.org(2008-11-08)
http://www.karashi.org/~poppen/d/20081108.html



予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
ダン アリエリー Dan Ariely
早川書房
売り上げランキング: 168


予想どおりに不合理
  • ダン・アリエリー/熊谷 淳子 訳
  • 早川書房
Amazonで購入
書評/経済・金融

  • [2008/11/27 22:43]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]最新地形図の本―地図の基礎から利用まで 

地図業界に興味があり基礎知識を学びたい人や、これからの地図業界の行く末に考えをめぐらせるにはよい一冊。

1995年の本なので、内容は古め。
ただ、地図が作られるまでの歴史は、変わることがないため非常に参考になる。

時代を遡れば、地図を作成することは生涯の仕事とも言える偉業だった。
全国を測量して地図を作った人といえば、社会科の歴史でも習ったであろう、伊能忠敬。
当時のテクノロジから考えれば、驚異的な精度で作られたという地図だった。
そして、その後どのような経緯を辿って、現代の地図として全国分が整備されていったかは、なかなか面白い。

例えば、よくある縮尺の2万5千分の1から5万分の1が作られた、だとか、様々なルールが示されている。(つまり5万分の1は計測結果から作っていたわけではない)
整備したあとの更新ルールなども楽しい。
他方では測地系のお話や、メッシュコードなど地図の世界独特の話もてんこもり。

昨今では、測量技術やGIS技術が発達し、非常に精細な地図を誰もが自由に使えるようになった。
しかも無料でかなり高機能な地図アプリケーションが使える。
衛星写真、ストリートビューを備えたGoogle Maps、距離測定や様々な情報を動的に地図に載せることができるマピオンなどを見ても、高機能なことは明らかだ。

昨今のIT技術の発展により、地図業界も大きな変革時期を迎えていると思う。
地図自体の情報価値は薄れつつあり、如何にして他の情報や機能を加えて差別化を図るか、といったことに焦点が当てられている。
(もちろん地図に価値がないわけではなく、常に新鮮な地図情報を提供することなどは非常に難しく価値が高い)

地図を持っていること、それ自体に価値が無くなっていることは、体質の弱い企業を淘汰することに繋がる。
しかし、これまでの歴史を振り返ってもテクノロジはそうやって成長を繰り替えしてきたのだから、まさに今が変革期といえるだろう。
今を乗り切った企業が、この先の地図サービスを牽引していくはずだ。

参考:
地図検索 マップはMapion
http://www.mapion.co.jp/


Google マップ - 地図検索
http://maps.google.co.jp/


heavy monologue | [読書]空間情報科学の挑戦
http://heavyfeather.blog38.fc2.com/blog-entry-750.html



最新地形図の本―地図の基礎から利用まで
大森 八四郎
国際地学協会
売り上げランキング: 793471

  • [2008/11/25 00:14]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]大学の話をしましょうか 

森博嗣へのインタビューを通し、大学のおかれている状況や教育について、独特の切り口で語って貰っている。
Q&A形式なのでとても読みやすく、さくさく読める。
「学生について」「大学という組織について」「研究者・教育者・作家としての森博嗣」という、大きく三つの観点でまとめられている点も、内容を汲み取りやすくてGood。

以下では、各章について紹介する。

  • 学生について
    ゆとり教育が実を結んで、試験の点数が採れないという点では、学力が低下していると述べる。
    そして、そんな状態はお上の望んでいた状態にはなっているということですよね、という問題提起。
    ただし、人間性が豊かになっているのを感じており、優劣を別の観点で測ればよいのではと言う。
    これらについては、概ね同意できるところ。文章を読めばすんなり頭に入ってくる。

    面白いと思った視点は、昔に比べて日本が豊かになっているため、ビリにならなければよい、という意識が強いと述べている点だ。
    よくハングリー精神が足りない、なんて言われるけど、この意識が根底にあるのは否めないんじゃないだろうか。

  • 大学という組織について
    出世すると、事務仕事や委員会などに追われ、研究者の本質の仕事である研究へ取り組める時間がぐっと減る。
    そんな状況を振り返り、助手の頃は研究に没頭できて幸せだったと述懐している。
    大学組織に関しては、縮小するという選択肢が無い点を指摘。
    組織改編でなんとか人員削減を逃れ、生き残ろうとする様をこき下ろしている。

  • 研究者・教育者・作家としての森博嗣
    大学をやめるための布石として、小説を書き始めたそうだ。
    小説は曖昧なところを残して構成する点が論文とは大きく異なると、両方の立場を経験しているからこそ語れる指摘が面白い。

    以前どこかで、大学の先生をしながらも小説家としての収入があったため、それぞれの組織に言いたいことが言えた、と書いていた。
    これは、これからの社会を生きていく上で、一つの指針になっていると思う。
    収入源に幅を持たせることで、個人でも社会を強くサバイブできるだろうし、フラット化するといわれる近未来では重要な選択肢といえよう。


大学という組織を通じて、示唆に飛んだ多数の発言を読むことができる、お得な一冊。
森博嗣の鋭い発言は現代社会へのアンチテーゼともいえ、反社会的な精神をくすぐられながら、愉快に読めることだろう。

参考:
MORI LOG ACADEMY
http://blog.mf-davinci.com/mori_log/index.php





  • [2008/11/15 00:22]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]蝶々の纏足・風葬の教室 

山田詠美の中篇三作が収められた一冊。
味のある登場人物たちが織り成す、独特の雰囲気をまとったストーリー。
これまでに山田詠美作品は何冊か読んだが、本書の三篇は、著者のもつ一流の技が際立っている。

幼少時代から大人になっていく課程で生まれる、よく考えれば気になる感覚を描くのがとにかくうまい。
まるで、刺さったトゲに気づいてしまった時のように、一旦気づくと気になって仕方がないといった感覚だ。
特に学生時代、即ち思春期における感覚は独特。
そして、それらの感覚は大人になると大抵忘れてしまっているのだけど、山田詠美の本を開けばそんな感覚を思い出させてくれる、という点が売れっ子の理由であるように思う。

収録の三篇は、日本のどこかにありそうな学校や家庭が舞台になっており、そこで生活するちょっと変わった子供たちが中心になっている。
どこかの教室で繰り広げられていそうだなーなんて、シーンを想像することが容易な点も、読者を飽きさせない技なのだろう。
子供たちの語り口で物語が展開していくが、そのちょっぴり変わった部分を情感豊かに描くと、ある種サスペンスのように読めてしまう。
サスペンスは非日常、でも舞台は身近、という相反する要素を混ぜ込むさじ加減がとても巧い。

本書に収録されている三篇の中でも、私は特に「風葬の教室」が印象的だった。
懐かしい感覚を覚えながらも、ネガティブな次の3点を再認識させられたのだった。
・子供ならではの無邪気な残酷さ
・村社会としての教室と、その中にうずまく恐さ
・子供達にとっては教室が社会そのものであり、唯一のもの

子供の持つ豊かな感受性を描きながら、各短編のオチは変化球。
読者も様々な感情に揺さぶられながら飽きることなく読むことができる。
短編集を求めている方には、オススメの一冊。


蝶々の纏足・風葬の教室 (新潮文庫)
山田 詠美
新潮社
売り上げランキング: 93430

  • [2008/11/07 17:05]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(2) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]ビジネスマンのためのスピーチ上手になれる本 

ビジネスマンに限らず、人前で意見を述べるシーンはそこかしこにあるはず。
本書ではちょっとした人数の聴衆の前でのスピーチを対象にしているが、記載されているテクニックや心構えは、少人数の会話でも使えるものばかりだ。
即ち、スピーチのスキルを向上を目指しながら、コミュニケーションスキルも高められる一冊と言ってもよいだろう。

筆者はラジオDJや講演をこなしている上、スピーチの為のコンサルティングも手掛けている。
この肩書きを見ると、いかにも話し慣れしていて平然とスピーチをするんだろうと想像しそうだが、実は緊張もするし汗もダラダラとかくものだと書いている。
しかし、この緊張を利用して、力に変えることができる点がプロたる所以だろう。

本書で一番印象に残ったのは、ジンクスなどを作ることも効果的だが、何よりもまず技術ありき、という点だ。
技術さえ身につければ、あとは緊張をうまくつかうために、スピーチの前に自分だけの儀式をもうけることが効果的に働く。

本書では次のようなティップスを含んでいる。
  • ちょっとした間を使うこと
  • 抑揚の付け方
  • 息の使い方
  • 笑顔や身振り手振りを使う


また、基本的なトレーニングとして、自分の持つ響く声を探し、声を出す練習をしようと訴えている。
これらを抑えれば、アマチュアレベルとしては十分なレベルに達するのではないだろうか。

何よりも忘れてはいけないのは、スピーチのプロでもかなりの下準備をしているという点だ。
日頃から話のネタを仕込む努力をしている点には触れるまでもないが、いつでも使える武器として得意分野のトーク3本柱を持つようにしてるらしい。
つまり、どんな話を振られても、いつの間にか自分の得意な話題に持ち込んで話を展開できるテクニックだと言える。
自分なりの伝家の宝刀を作ることができれば、これほど心強いことは無いだろう。

一方では聴衆の規模にも考慮すべきで、人数や会場の広さ、照明のON/OFFなどによって話すスピードを変える必要があるという点は、新しい気づきだった。

このように、身につけるべき数々の技術について触れているのだが、対象読者が普通のビジネスマンなだけあって、正直浅く広いレベルに留まっている印象をうけた。
基礎をきっちりと身につけたいと感じたのなら、技術をメインに扱った本を当たるとよいだろう。
ただ、広く浅くであっても、一般のビジネスマンにとってはかなりの効果があるはずだ。

スピーチに苦手意識があるけど、そんな状況を打破したいと感じている人に役立つ一冊といえる。



ビジネスマンのためのスピーチ上手になれる本
Amazonで購入
書評/ビジネス

  • [2008/11/03 18:25]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

[読書]売上1億円を引き寄せる感謝の法則 

「周囲の人に心から感謝することができる人は、周りもその人も助けたくなる」という一言に集約できそうな一冊。
他人との係わり合いが避けられないこの世界を生きていく中で、肝となるティップスだ。

本書は、7ヶ月で売上げ1億円を達成したセールス術を紐解く!といった売り文句でアピールしているが、決してそれだけの内容ではない。
というよりは、セールス術よりも大切な処世術の一つを伝授してくれる一冊と言った方がよいかもしれない。

まずは前面に出ているセールス術の部分を見てみよう。
著者は現在セールスコンサルタント会社を経営している。
バイト時代にはスニーカー販売、PC販売で驚異的な成績を収めたそうだ。
それぞれの成績はアルバイト販売員の売上げNo1、7ヶ月で売上げ1億円達成である。
販売員のアルバイト経験が無い私には、その難しさをリアルに感じることが出来ないのだけど、単価の高いPCとはいえ7ヶ月で1億円を単身で売り上げるというのは偉業だと想像できる。

この偉業を達成するためには数々のノウハウがあるはずだ。
しかし、本書ではノウハウについては軽く触れる程度で、それを手にするための心意気を中心に述べている。
この部分が上記した「セールス術よりも大切な処世術」である。
例えば、前半ではモチベーションを重視するという点に焦点をあて、仕事だけに留まらずプライベートの時間もどのように過ごすのがよいかを解説する。
考え方一つで周りが違って見える、というのがミソだろうか。

また最後の5章がとても印象的だった。
自分を含め、周囲のモチベーションを維持するための、リーダーが取るべき態度はとても勉強になった。
そんな中で一番記憶に残ったキーワードは、「居場所」。
従業員は「居場所」が無いと感じたときに、著しくモチベーションを損なうものだと述べている。
これは大いに納得できる一言で、周りに必要とされ、延いては感謝される段階までいくと、モチベーションはたいてい高まっているはずだ。
手を動かして貰う人に対して感謝し、モチベーションを高めてもらうというのは、マネジメントスキルとしても重要な要素なはず。

その延長で、多くの人に支えられて生きているんだと実感できれば、すぐに周囲の人たちに感謝できるようになるだろう。

特設ブログなどに目を通しても分かるが、ポジティブな感情が回りに伝わるような記事が多い。
恐らく著者に根ざすポジティブ思考が、そのような振る舞いに繋がっているのだろうと想像させる。
このポジティブ思考にプラスして周りに感謝しつつ活動できれば、自然と成果もついてきて、生活が充実したものになることは想像に難くない。

本書を読んで、周囲を見る目を変えられればしめたものだ。
自然、周囲もあなたを違った目で見るようになるはず!


参考:
売上1億円を引き寄せる 感謝の法則 特設ブログ - livedoor Blog(ブログ)
http://blog.livedoor.jp/givingthanks/


株式会社FamilySmile
http://familysmile.co.jp/



売上1億円を引き寄せる感謝の法則Amazonで購入
書評/ビジネス

  • [2008/10/24 18:11]
  • 書評 |
  • トラックバック(0) |
  • コメント(0) |
  • この記事のURL |
  • TOP ▲

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。